「仕事を休みたいけど、休めない。でも、この子のそばにいたい——」
老犬の介護をしながら働くあなたが、今まさにそんな想いを抱えているのなら、どうか一人で抱え込まないでください。職場に迷惑がかかるのでは、という気持ちも、あの子につきっきりでいてあげたいという願いも、どちらも本当のあなたの心です。この記事では、老犬介護と仕事を両立するための具体的な方法を、一緒に考えていきましょう。
介護休業制度はペットに使える?知っておきたい事実
「介護休業」という言葉を聞いて、「老犬の介護にも使えるのでは?」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。残念ながら、結論からお伝えすると、法律上の介護休業は、ペットには適用されません。
育児介護休業法で定められた「対象家族」は、配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹など、人間の親族に限定されています。たとえあなたにとって愛犬が家族同然の存在であっても、現行法では「動産(物)」として扱われてしまうのです。
この事実を知ったとき、悔しさや悲しさを感じるのは当然のことです。「この子は家族なのに」その想いは、何も間違っていません。ただ、法律が追いついていないだけなのです。
では、どうすればいいのでしょうか?実は、法律以外にも道はあります。
会社独自の「ペット休暇」を導入する企業が増えている
国の制度に頼れないなら、会社の制度を探してみましょう。近年、ペットのための特別休暇を導入する企業が少しずつ増えているのをご存じですか?
アイペット損保の「ペット休暇」と「ペットの忌引き」
ペット保険のアイペット損害保険では、2016年から従業員向けに年2日のペット休暇を導入しています。通院や旅行など、ペットと過ごす時間のために使えるほか、ペットが亡くなった際には人間の親族と同じように忌引き休暇も取得できます。
対象動物も当初の犬猫から、鳥・うさぎ・フェレットへと拡大。制度導入後1年で63名が104日を活用したというデータもあり、形骸化せずに根付いているそうです。
大東建託の「ケア休暇」は1時間単位で取得可能
2025年1月から、大東建託が始めた「ケア休暇」は画期的です。年間最大5日まで、しかも1時間単位で取得可能。
「朝の点滴のために1時間遅れる」「昼休みに体位変換のため1時間だけ帰る」——老犬介護では、丸一日休むより、こうした細切れの時間が必要なことのほうが多いですよね。まさに現場のリアルなニーズを捉えた制度といえます。
あなたの会社にも、似たような制度が眠っているかもしれません。就業規則や福利厚生制度を、一度じっくり確認してみてください。
会社に制度がない場合の現実的な選択肢
「うちの会社にはそんな制度ない……」
そう思った方も、諦めるのはまだ早いです。使える手段は、実はいくつもあります。
有給休暇を戦略的に使う
年次有給休暇は、理由を問わず取得できる権利です。時間単位で取得できる会社なら、朝の2時間だけ、午後の1時間だけ、と小分けにして使うことで、長期間にわたって介護に対応できます。
一度にまとめて使うのではなく、「点滴の日」「通院の日」など、ピンポイントで活用するイメージを持つと、限られた日数でも乗り切れる可能性が高まります。
在宅ワーク(テレワーク)を交渉する
コロナ禍を経て、多くの会社で在宅勤務が定着しました。もしあなたの会社にテレワーク制度があるなら、積極的に活用を交渉してみてください。
「休む」のではなく「自宅で働く」この選択肢があれば、あなたは仕事をしながら、あの子のそばにいられます。上司には「業務に支障をきたさないため」「自身の体調管理のため」と伝えるのも一つの方法です。老犬介護による睡眠不足は、確実にあなたの心身を蝕んでいるのですから。
留守番カメラを味方につける
「仕事中も気になって仕方がない」その気持ち、よくわかります。
最近は、スマートフォンでリアルタイムに様子を確認できる見守りカメラが手軽に手に入ります。声をかけられる機能がついたものもあります。姿が見えるだけで、少しだけ心が落ち着くこともあるのではないでしょうか。
仕事中のケアを外部サービスに任せるという選択
自分一人で抱え込む必要はありません。外部のプロに頼ることも、立派な選択肢です。
訪問ペットシッターを利用する
日中、自宅に来てくれるペットシッターは、給餌・排泄介助・体位変換など、あなたの代わりにケアをしてくれます。料金は1回2,500円~5,000円程度が相場です。週に数回だけお願いする、という使い方もできます。
動物病院併設のデイケアを活用する
獣医師や動物看護師がいる環境で日中を過ごせる「デイケア」サービスも広がっています。医療処置が必要な子や、認知症で目が離せない子には、特に心強い選択肢です。
半日コースで3,000円前後から利用できる施設もあります。「毎日は無理でも、週に1~2回だけ」と割り切って使うことで、あなた自身の心身のレスパイト(休息)にもなります。
老犬ホームという選択肢もある
24時間体制のケアが必要になった場合、「老犬ホーム」への入所を検討することもできます。月額10万円以上の費用がかかるため簡単な決断ではありませんが、「罪悪感を持つ必要はない」ということだけは、お伝えしたいのです。
あなたが倒れてしまったら、あの子は誰が看てあげられるでしょうか。自分自身を守ることも、あの子を守ることにつながるのです。
「休むと迷惑がかかる」という気持ちとどう向き合うか
老犬介護で仕事を休むことに、強い罪悪感を感じている方は少なくありません。アイペット損保の調査によると、ペットを亡くした際に「仕事を休まなかった」人は6割以上。一方で、同じく約6割がペットロスになったというデータもあります。
つまり、無理をして出勤し続けた結果、心を壊してしまう人がたくさんいるのです。
「職場に迷惑をかけたくない」その気持ちは優しさの表れです。でも、寝不足でミスを連発したり、心ここにあらずで仕事をしたりするほうが、かえって周りに迷惑をかけてしまうこともあるのではないでしょうか。
「今日は休む」「今日は早退する」と決めることは、逃げではありません。 大切な家族を看取るために必要な、勇気ある選択です。
老犬の介護:よくある質問(FAQ)
まとめ:老犬の介護、あなたは一人じゃない
老犬の介護と仕事の両立は、本当に大変なことです。「つきっきりでそばにいたい」という願いと、「仕事を休めない」という現実の間で、心が引き裂かれそうになることもあるでしょう。
でも、どうか覚えていてください。
完璧な介護などありません。
できることを、できる範囲でやっているあなたは、十分にあの子のことを愛しています。
もし、ペット介護に疲れてしまったら、立ち止まって休んでいいのです。夜鳴きで眠れない夜が続いているなら、一人で抱え込まないでください。
この記事を読んでくださったあなたが、今夜少しでも穏やかな気持ちで過ごせますように。
「心やすらかに」では、ペットとの別れや介護に関するお悩み相談を受け付けています。 一人で抱えきれない時は、どうか私たちを頼ってください。
