「また夜中に鳴き始めた……」
時計を見れば深夜2時。隣で寝ていたはずの愛犬が突然吠え出し、なかなか止まりません。なだめても、抱き上げても、落ち着かない。疲れているのに眠れない日々が続くと、心も体もすり減ってしまいますよね。家族全員の睡眠にも影響して、生活リズムが乱れることもあるでしょう。
高齢になると犬も心身に様々な変化が起こり、夜鳴きが増える子も少なくありません。特に10歳を過ぎると、そういった症状が現れる可能性が高くなります。このブログでは、そんな飼い主さんの不安に寄り添いながら、「今すぐできる」やさしい対処法をお伝えします。
夜鳴きの背景には”変化への戸惑い”がある
まず、夜鳴きの原因を理解することが大切です。老犬が夜に鳴くのは、わがままでも甘えでもなく、”何かしらの理由”があるサインです。叱っても解決しないどころか、さらに不安を強めてしまうかもしれません。
夜鳴きの主な原因
- 視力や聴力の低下による不安:見えにくい・聞こえにくいことで不安になり、飼い主を呼ぶように鳴くことがあります。暗闇ではさらに不安が強まるので、夜に症状が出やすくなります。
- 認知症(犬の認知機能不全):昼夜の区別がつかなくなり、夜に活動的になって鳴くことも。場所や状況がわからなくなって混乱し、不安になることもあります。
- 体の痛みや不快感:関節炎や内臓の不調など、目に見えない痛みが原因になっている場合も。痛みが強くなると休息が取りにくくなり、夜間に症状が悪化することがあります。
- 睡眠パターンの変化:高齢になると浅い睡眠が増え、ちょっとした音や動きで目が覚めやすくなります。日中に十分な活動ができないと、夜に目が冴えてしまうこともあります。
- トイレの我慢ができない:膀胱の機能が低下して、頻繁にトイレに行きたくなることもあります。我慢できずに鳴いて知らせていることも考えられます。
原因はひとつとは限りませんが、どのケースにも共通しているのは「不安や混乱」が背景にあること。叱るよりも、安心させてあげるアプローチが大切です。愛犬の気持ちに寄り添った対応を心がけましょう。
今すぐできる、やさしい対処法5選
それでは、今日から実践できる具体的な方法をご紹介します。どれも特別な準備や専門知識がなくても、すぐに始められるものばかりです。
1. 寝る前のルーティンをつくる
軽いマッサージやおやすみの声かけを毎晩同じように行うと、安心感を与えることができます。例えば、首の後ろや背中を優しくなでたり、「おやすみ、大丈夫だよ」と同じ言葉をかけたりしましょう。時間も場所も同じにすると、「寝る時間」という認識が生まれやすくなります。睡眠導入の合図として、特別なおもちゃや毛布を与えるのも効果的です。
2. 夜間もほのかな明かりを
完全な暗闇は不安を強めます。常夜灯や足元ライトをつけてあげましょう。LEDの豆電球や電池式のほのかなライトなど、直接目に入らない柔らかい光源がおすすめです。真っ暗な部屋では視界が全く効かず、恐怖心が強まりますが、ほのかな明かりがあれば安心感が生まれます。特に視力が低下している高齢犬には重要なケアです。
3. 安心できる寝床を見直す
段差のない、静かで落ち着ける場所にベッドを設置しましょう。好きな毛布や飼い主の匂いがあるタオルを使うのも効果的です。関節炎がある場合は、整形外科用のマットレスや低反発クッションを活用して、体への負担を減らしてあげてください。また、寝床の周りを囲むように低いついたてを置くと、安心感のある空間を作れます。
4. 音環境を調整する
ホワイトノイズややさしい音楽を流すことで、外部の刺激を和らげてあげられます。雨音や波の音などの自然音、専用のリラックス音楽などが効果的です。外の音に敏感に反応してしまう子には、一定の音が流れていることで気を紛らわせることができます。ただし、音量は控えめにして、睡眠の妨げにならないようにしましょう。
5. 夜間でも様子を確認できる工夫を
ペットカメラやベビーモニターを設置すれば、飼い主も安心できますし、愛犬も気配を感じて落ち着くことがあります。別の部屋で寝ている場合、声をかけるだけで安心する子もいます。また、寝室のドアを少し開けておいて、お互いの気配を感じられるようにしておくのも良い方法です。
鳴かなくなった夜、少し笑顔が戻った朝
「夜に鳴かなくなってきて、私も眠れるようになりました。家族みんなが穏やかに過ごせるようになりました」
ある読者の方から寄せられた声です。最初は「もう限界かも」と涙を流していた方が、毎晩のマッサージと、常夜灯を試すことで徐々に落ち着き、愛犬も穏やかに過ごせるようになったそうです。
同じように「トイレに頻繁に行きたがるようになった愛犬のために、夜間用のトイレスペースを設けたら、鳴き声が減りました」という体験談もありました。原因に合わせた対策が、効果を発揮するようです。
高齢犬の夜鳴きは、完全にゼロにするのが難しいこともあります。でも、“安心できる環境”をつくることで、頻度を減らし、愛犬の心を安定させることはできます。
そしてそれは、飼い主さん自身の心のゆとりにもつながるのです。一日中ストレスがたまると、愛犬へのケアも十分にできなくなります。あなた自身の休息も大切にしてください。
まずは「ひとつだけ」からはじめてみませんか?
全部をいきなり実践しようとしなくても大丈夫。まずは今夜、常夜灯をつけてみる。寝る前に「おやすみ」と声をかけて撫でてあげる。それだけでも、愛犬の感じる世界は少し変わります。
そして、少しでも変化があったら、また新しい工夫を加えていくのもいいですね。無理なく続けられることが一番大切です。あせらずゆっくりと、できることから始めましょう。
また、獣医師に相談することも大切です。特に急に夜鳴きが始まった場合は、体の痛みやほかの病気が隠れている可能性もあります。定期的な健康チェックを受けることで、早期発見・早期対応ができるでしょう。
あなたの”今できること”が、きっと愛犬の安心に変わります。
愛犬の夜に、やさしい光を
高齢犬の夜鳴きには、しつけというより”思いやり”と”工夫”が大切です。
これまで何年も一緒に過ごしてきた愛犬は、今、心と体の変化に戸惑っているのかもしれません。夜中の静寂の中で愛犬が鳴くのは、あなたの存在を求めているから。だからこそ、少しの工夫で「鳴かない夜」が増えていくと、あなたも愛犬も穏やかな時間を取り戻せます。
老犬と暮らす日々は、新たな愛情の形を教えてくれるものです。若い頃のように元気に走り回ることはなくても、穏やかな時間の中で深まる絆があります。
愛犬の声にそっと寄り添いながら、今日からできる一歩を踏み出してみてくださいね。あなたの小さな工夫が、愛犬の大きな安心につながります。そして、その安心した表情を見ることが、きっとあなたの心も癒してくれるでしょう。